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2006年01月27日
アフタヌーン3月号の感想
今回のエントリーは長いです。おもいっきりネタバレもしてますんで、ご注意ください。
■おおきく振りかぶって
月刊アフタヌーン連載の野球マンガです。一年生十人だけの西浦高校野球部が、夏の大会初戦で、昨年の甲子園出場校、桐青高校に挑む。一年間続いたこの対桐青戦も、今月ついに決着がつきました。
九回裏、西浦が1点リードで迎えた最後の守り。投手の三橋はすでに体力を消耗し、スピードも変化球のキレも失っていた。(いや、もともとスピードのある投手じゃないけど)
打たれたら、自分のせいでチームが負ける。それがとても怖かったけど、交代したくない。投げたくて、マウンドを譲りたくなかった。そのせいでチームメイトに嫌われるとわかっていても、マウンドにしがみついた。
中学時代も、三橋は絶対にマウンドを人に譲らなかった。投げ続けられたのは、実力を認められたからではなく、理事長の孫だったから。監督のヒイキで、三橋のイジが貫かれた。その結果、三橋の遅い球は打たれ、チームは負け続けた。中学のチームメイトに嫌われ、なじられた。同じことを繰り返すことが嫌で、祖父の経営する高等部には進学せず、地元の公立校に入学した。
そして今、西浦のエースナンバーを背負ってマウンドにいる。九回裏、一死一、三塁。打席は桐青の四番、青木。ヒットで同点、長打ならサヨナラの危機だ。
『オレがこのまま投げてたら、みんなも負ける。それでもマウンド降りたくない。これじゃ、中学の時とおんなじに……』
チームメイトを怒らせてしまう。そのプレッシャーに脅える三橋。だが、そんなエースにバックがかけた言葉は。
「三橋!! あとのことはまかして、お前の一番いい球投げろ!! お前の投げる球なら、誰も文句ねェから!!」
キャプテン花井のその言葉を、三橋は理解できない。それほど、中学時代のトラウマは深い。なぜ、マウンドにしがみ付くこんなイヤな自分に、やさしいこと言ってくれるのか? わからないけれど、その言葉に押され、投げる。サインをくれるキャッチャー阿部のミットへ。
青木のバットが初球をとらえる。打球はセンター前へ飛んだ。センター泉が懸命にダッシュ。
『捕ってやるぜ、三橋!』
飛びつく。ボールはグラブの中へ。アウト!
捕球位置は浅い。しかし、泉の体勢は崩れている。それを見た三塁ランナーがタッチアップ。ホームに突っ込む。
即座に泉はライト花井にボールをトスした。花井が懸命のバックホーム。
「うおああ!!!」
ダイヤモンドを切り裂き、返球が一直線に飛ぶ。ホーム上のクロスプレーになった。足から滑り込むランナー。ブロックする捕手阿部。判定は。
「アウトー!!!」
西浦高校、勝利の瞬間だった。
……も、燃える!
負けた桐青の姿もかっこいい。
桐青の主将で捕手の河合和己は、ベンチで淡々と帰り支度を進める。その目に涙はない。だが、平気なはずがない。
相手は公立校の新設野球部で、全員一年生で、十人しかいなくて。負けるはずのない試合だった。油断がなかったとは言えない。しかし全力でぶつかり、敗れた。三年生の河合には、高校最後の試合になってしまった。家族にもらった必勝祈願のお守りを握り締める背中が、河合の胸のうちを描き出す。それでも気丈に、チームメイトへベンチからの退去をうながす。
そんな恋女房を、二年生エース高瀬準太が呼び止める。
「……オレはっ、もっと……一緒に……っ」
美少年高瀬の顔が、泣き崩れている。
思わず、エースを抱きしめる河合。
「力、足んなくてごめんな!! お前をもっとうまく投げさしてやりたかった」
そう叫んだ河合の目にも、こらえきれずに涙があふれた。
号泣するバッテリー。チームの全員が、泣き崩れる。
……も、萌える。
(いや、ちょっと待て。俺がそっち方面に目覚めてどうする!)
え、え~と。『おお振り』の宣伝で、「新しいおもしらさの高校野球マンガ」とキャッチコピーがついていました。うん。確かにそんな感じはする。思うに、このマンガには少女漫画向けのエッセンスがけっこう入ってるんですよ。
男の子向けの野球マンガだと、試合の緊迫感、勝ち負けって部分に面白さを追及します。けど、『おお振り』はそれよりも、キャラクターの背負ったトラウマ、それを克服してのチームメイトとの信頼なんてものに、よりウエートを置いている。腐女子ウケを狙っているかのような要素もあるしね。
そんな女性の視点で描かれた等身大の高校野球が、新しい面白さを生み出している。そんなふうに感じます。
今月号は大増82ページ(これって、週刊誌で一ヶ月描くより多いんじゃないか?)、のりにのってる『おおきく振りかぶって』 おもしろいです。
投稿者 bonju : 22:46 | コメント (0) | トラックバック
2006年01月21日
執筆進行度、遅れまくっております
第13回電撃小説大賞を目標に小説を書いています。だけど、自分で立てた予定よりも、はるかに遅れています。
今日あたり、第二章の終わりまで、120~130枚くらいは書きあがってるはずだったのですが、未だに第一章の前半、30枚くらいしか書けてません。うわ~い。
原因はなんとなくわかってきたんですよ。どうやら、主人公の性格が気に入らないみたいです。プロット通りに話を進めようとすると「こいつの性格だとこういう反応はしないんじゃないだろうか?」とか思えてきて筆が止まります。私はこの現象を、キャラクターがストライキを起こすと呼んでいます。
キャラ重視のライトノベルであるなら、ストーリーのほうを変えるべきなのかもしれませんが、そこまで魅力あるキャラクターでもないしなあ。加えて今回は脳の奥から
「監督、監督。その役、俺ならもっとうまくやれますぜ。エッヘヘヘ」
と自己アピールする声が聞こえてきます。このストーリーの主人公を担うべきキャラクターがどっかから降ってきたって感じですね。
う~ん。主人公の役者交代、してみますか。そうすっと冒頭から口調やモノローグ、仕草なんかを変更。脇役とかの反応も書き直さなきゃいけないけど、まだたいして書き進んでないので、あんまり痛くない。……。
…………痛く、ない……モン。
確かにちょっと焦ります。アッキーさんはもう200枚越えてるみたいだし、ラノベ研にも第一稿(?)が完成してる人がいらっしゃる。そういう方々と自分を引き比べてしまうと、ね。ニ月、三月はまた仕事のほうが忙しくなりそうな気配があるし。
不安は感じますが、今から書き直し、始めます。
#####
「~~モン、とか言うな。気持ち悪い」
「うん。俺もそう思った」
投稿者 bonju : 15:14 | コメント (2) | トラックバック
2006年01月16日
絶チル第3巻発売
先日、絶対可憐チルドレン第3巻が発売されました。となれば、書かずばなるまい、ファンとして。宣伝せねばなるまい、信者として。
というわけで、「早く新作小説書けよ」という心の声は聞こえなかったことにして、絶チルの話なのです。
そう遠くない未来、超能力者の存在が当たり前のものになり、しかし普通人との軋轢が完全になくなったわけではない世界。十歳にして最高レベルの超能力者、薫・葵・紫穂の三人娘。そして彼女達を指揮・教育する若き天才科学者、皆元光一。チーム「ザ・チルドレン」の前に、史上最悪の超能力犯罪者、兵部京介が現れた。
そう、この巻から登場した新キャラクター兵部京介、大人気のようですね。特にそのスジのお姉さま方に、兵×皆のカップリングが(^^;
私としても、兵部のお茶目さと陰謀が光る『瞳の中の悪魔』をこの巻のベストエピソードとして推したい。
兵部のかけた催眠によって、皆元はザ・チルドレンが大人の姿に見えてしまいます。それを知った三人娘は、皆元を誘惑する……。追い詰められる皆元と、三人娘の悪ノリが面白すぎるエピソードです。
話はそれだけでは終わりません。からかっているだけかと思われた兵部の秘めた陰謀、皆元の判断ミスが招いてしまった危機、そしてギリギリの駆け引き。ギャグから一転、盛り上がるシリアス、最後は伏線を回収してのオチ。見事です。
私が自作の小説で目指していたのは、この雰囲気だったのだと思い出しました。ギャグとシリアスのバランス、呼吸、キャラを反映させた台詞回しとテンポ。椎名先生の作品をずいぶん参考にしたものです。もちろん、他のマンガや小説からも、たくさんのエッセンスを身につけようとあがいておりますが。
絶対可憐チルドレン、力不足の私がどれだけ読み解けるかわかりませんが、また研究させてもらおうと思います。
追記。
巻末のおまけマンガでは、超能力の解説がされています。この作品独特の複合能力、合成能力の解説もなされ、作品世界をより深く理解できるでしょう。
そんな解説ページの中にも登場し、オチをかっさらっていくお茶目な兵部京介少佐。好きっす。
投稿者 bonju : 01:09 | コメント (0) | トラックバック
2006年01月08日
A君(17)の戦争 レビュー
感想掲示板の方で「参考にせい」と言ってくれた方がいたので、読んでみたシリーズです。
いじめらっれ子の小野寺剛士君(17)は、ある日異世界に転移してしまいます。そこは、魔王軍と人族の国ランバルトが戦争を行っているおファンタジアな世界。戦略・戦術・謀略における隠れた才能を持っていた小野寺君は、魔王軍の総帥(ついでに言うと次期魔王)として、戦争の指揮をとることに。自分を慕ってくれる魔族たちのため、軍事的才能を発揮し、劣勢を跳ね返していきます。
とまあ、そんなストーリー。
特筆すべきは、随所に盛り込まれた戦略・戦術理論でしょう。ドラゴン、ケンタウロス、吸血鬼など、ファンタジー小説でおなじみのクリエイチャーを登場させながら、その特性を現実の戦術理論で捉えなおし、ファンタジー世界における戦術論を描き出している。
第一巻では、中世ヨーロッパ風の集団戦闘がメインでしたが、巻が進むと第二次世界大戦風の空中戦を描いている。もちろん戦闘機ではなく、ペガサスやドラゴンを使って。
さらに精霊を使ったジンネット(インターネットみたいなもん)を登場させ、現代情報戦の要素まで組み込んでいました。
戦争という現象を支える国家体制・経済的背景なども、実際の軍事史を基に設定され、解説されています。しかも、ある特定の時代をモデルにしたのではなく、異なる時代のシステムを混在させて構築しているのです。その知識と応用力には脱帽ですね。
おっと、ここまでの文章だと、なんか難しい小説のようにも見えますが、雰囲気は易しいです。むしろ下半身に優しい要素もあったり。
主人公小野寺剛士の周りには、総帥の世話役である正体不明の謎の美少女、軍事総長たる美貌の女吸血鬼、押しかけ女房的に現れた他国の王女様、一見美幼女で実は六十八歳の悪魔っ娘、エルフのフワフワプニプニオネエサン情報仕官などなど、ハーレム小説みたいなキャラクターが揃えられています。
さらには、いくつもの世界を渡り、滅ぼす力を持つ黒幕的美少女も介入し、SFの雰囲気もかもし出す。盛りだくさん過ぎて、作者もバランスの取り方に四苦八苦してるんじゃなかろうか? そんな危うさも感じられる小説です。
マイナス点としては、長所の裏返しでもあるのですが、やっぱり説明が多い。理屈っぽい。くだけた文体で説明文の大さによる硬さを緩和していますが、それでもこれは多すぎるんじゃないかい?
あとちょっと気になるのは、作中で戦史オタク、設定マニアをこき下ろし、非難していること。「設定オタクの未来は灰色だ」とか。あれは何なんでしょう? そういうファンに酷評されて、よっぽど頭に来たんでしょうか?
以上。軍事史的な視点で世界観を見る、そんなエッセンスがとても参考になる作品ですよ。
※まったくの予断ですが、作中の登場人物である田中魔王様。私は『げんしけん』の斑目のイメージで読んでおります。
投稿者 bonju : 23:37 | コメント (2) | トラックバック
2006年01月02日
新年と新コンテンツのご挨拶
あけましておめでとうございます。
暮れに大掃除を始めたのはいいけど、懐かしい本を発掘してしまい、読みふけって時間を浪費するというありがちな罠にはまったあげく、掃除する前より散らかった状況で年明けを迎えた梵樹です。
本年もよろしくお願いいたします。
さて。ながらくコンテンツの更新のなかった当サイトですが、新コンテンツ「小説工房改善Pj」を開設しました。何のことはない、感想掲示板に寄せられた創作技法よりの書き込みを整理し、創作法についての議論をする掲示板を設けただけです。
正直言いますと、創作法についてのコンテンツを作るのはためらいがあります。サイト開設当初はそういうコンテンツも用意しようと思っていたのですが、いざ書いてみようと思うとキーボードを叩く指が止まるのです。
私も何冊も小説やシナリオの書き方本を購読し、それに基づいてストーリーを捻り出してるので、その手の話を偉そうに語ってみたいな、という想いはあるのです。しかし、私が理解している程度の技術なんて、他の多くのサイトで解説されています。プラスαを付けようとすると、人様に伝えられるレベルで理解できていない。
新作書くたんびに、新しい発見がありますからね。「ああ、あの本に書かれていたことはこういうことだったのか」とか「あの本にはこう書いてあるけど、こっちの本にはこう書いてある。どちらかを優先する、あるいは組み合わせるさじ加減はこんな感じだろうか?」とか。
技術とかノウハウは、もちろん知っているべきです。知識がなければ、自作のどこが悪いのか、考察することもできませんから。けど、知っているだけでは意味がなくて、試行錯誤しながら実践しないと、つまり何度も自分で小説を書いてみないと、本当に理解はできないんだなぁと感じます。ましてや、一般論として論じるなんて、とてもとても。
そんなわけで、今まで躊躇していたコンテンツも、訪問者様のお力を借りる方向でやってみようと思います。恥を承知で、自分が理解できた(と思われる)レベルのノウハウを、エッセイ風に掲載することもあるかもしれません。
よろしかったら、参加してやってください。
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「新コンテンツ見てきた。掲示板の注意書き、長い。ってか、見ようによっては訪問者にケンカ売ってるような注意書きじゃねえか? あれじゃ誰も書き込みしてくんないぞ」
「それならそれでもいいかなぁ、と思って……」
おおきく振りかぶって
